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映画「パッション」

イエス･キリスト最後の12時間を描く。メル･ギブソン監督・製作のアラム語・ラテン語映画。

●STORY
弟子の一人ユダの裏切りにあって捕らえられたイエスは、ローマ総督ピラトの元に連れて行かれる。群衆から非難と誤解を受けているイエスは死刑となり、十字架とともにゴルゴタの丘を目指すのだった・・・。

【DATA】
監督：メル･ギブソン
主演：ジム・カヴィーゼル
アメリカ映画、2004年
2004年5月1日（土)から全国で公開。
http://www.herald.co.jp/official/passion/

なぜメル･ギブソンなのか
「マッドマックス」「リーサル･ウェポン」のメル･ギブソンが、なぜキリスト映画？　しかも私財30億円を投じて・・・！
メル･ギブソンがかなり熱心なクリスチャンであることは、欧米では有名な話。2002年の映画「サイン」では神父役を演じ、結構さまになっていた。
実はギブソンは「伝統主義」traditionalistのカトリックで、同主義はユダヤ人の立場の解釈について法王庁と意見を異にしているという面倒ないきさつがあるのだが、今回の映画はめでたくローマ法王のお墨付とあいなった。
セリフはアラム語（古代の言語）、ラテン語のみ（英語字幕がついている）。劇場公開のあてもなく、メル･ギブソンが情熱のおもむくまま作ってしまったわけだが、キリストの手に釘が打たれるさまなどがリアルですさまじいらしく、いまや世界的な大ヒット映画に。
さすがはハリウッドで20年成功を収め続けている映画人である。
アラム語のセリフとは
アラム語とは、イエスの時代に話されていた言葉。新約聖書はギリシャ語で書かれたのだが、イエスがしゃべっているところにはアラム語が混じっていると言われている。
「当時を忠実に再現するため、セリフをアラム語にした」と言われれば、ああそうかと思ってしまうが、しかし・・・今では消滅しているはずのアラム語の発音が、どうすればわかるのか!?
実はアラム語は今でもシリア、イラン、イラク、トルコなどの一部でかろうじて話されていて、約100万人くらいの話者がいるらしい。
そして今回は、アラム語の研究者であるロサンゼルスのロヨラ・メリーマウント大学のウィリアム・ファルコ教授が、セリフの翻訳および発話指導にあたったそうだ。ファルコ教授は、カトリックの聖職者でもある。
現代に生きているアラム語はイエス・キリストの時代に話されていたのと少々違うのだが、ファルコ教授はさまざまな可能性を検討して、古代のアラム語に近づけたということだ。

イエス･キリスト最後の12時間に起こったこと
聖書によると、十字架にかけられたイエス･キリストは午後3時ごろに息を引き取ったらしい。とすると、「最後の12時間」とは深夜３時ごろから翌日夕方3時までの間だ。
イエスは十字架刑の前夜、ゲッセマネの園で祈っているところをユダの裏切りにあってとらえられ、大祭司たちの裁判を受けた。夜が明けるとローマ総督ピラトのもとに引き渡され、十字架刑が決まる。それからゴルゴタの丘に連れて行かれ、十字架にかけられたのは午前9時。
それから６時間後に息を引き取る。つまり、「最後の12時間」は、短いようでいてイエスの重要なドラマが凝縮されているのだ。

＊ちなみにローマ時代の十字架刑とは、十字架にかけられているうちに呼吸困難や心臓発作で死に至ったらしい。

「パッション」日本語公式サイト
http://www.herald.co.jp/official/passion/
A Mel Gibson Film A Passion
http://www.mel-at-carinya.com/filmography/films/passion/index.html
メル･ギブソンの熱心なファンによる特集。製作当時のニュースが読める。
アラム語のページ
http://arabic.gooside.com/aramaic/
アラム語の文字を見ることができる。
ミルトス
http://www.myrtos.co.jp/
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