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映画「トロイ


「イーリアス」の世界を本格的に映像化。ブラピはアキレウスの"顔"となるか?

●STORY
ホメロスの「イーリアス」に描かれたトロイ戦争を映画化。物語は、トロイの王子パリスがスパルタのヘレンを誘拐するところから始まる(ヘレンの略奪は「愛」のためということになっている)。ただし、主役はあくまでブラッド・ピット演じるギリシャ最大の英雄
アキレウス。

【DATA】
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
主演:ブラッド・ピット(アキレウス)
オーランド・ブルーム(パリス*「ロード・オブ・ザ・リング」出演)
アメリカ映画、2004年
2004年5月22日(土)から全国で公開。
http://www2.troy.jp/



ロケ地は地中海のマルタ
トロイ戦争の舞台とされる遺跡は現代のトルコにあるが、映画の撮影地となったのは地中海の小国マルタ。風光明媚で治安もよいマルタは映画のロケ地として大変な人気で、古代ローマの剣闘士を描いた「グラディエーター」もその多くがこの地で撮影された。首都バレッタに程近いリカゾーリ要塞の中に、トロイの宮殿などのセットが組まれたそうだ。
ちなみにマルタには、トロイ戦争に参加したオデュッセウスが、故郷に帰る途中で妖精カリプソにとらわれた洞窟がある。
あながち舞台としてはずれているわけでもなさそうだ。

トロイ人って、誰・・・?
トロイ戦争で、ギリシャ側の総大将はミケーネアガメムノン。つまり、この時代は我々のよく知っている古典期ギリシャではなくその前のミケーネ時代である。ブラッド・ピットらギリシャ側の戦士たちは典型的な古典期ギリシャの戦士の姿をしているが、「イーリアス」の中のホメロスの記述自体「盾を持って云々」と、まるっきり古典期ギリシャのものなので、まあ、これは妥当な線といえよう。
気になるのはトロイ側の設定。何しろホメロスの時代、トロイはすでに伝説上の存在で、そんな国が存在したかどうかもよくわからない(そもそも、ホメロスが実在の詩人かどうかすら謎なのだ)。つまりどんなスタイルでも間違いにはならないわけだが、トロイ城内の彫像がどこかエジプトっぽいのは、やはりちょっと気になる・・・ところである。


シュリーマンの夢
ドイツの実業家ハインリッヒ・シュリーマンが発掘したトルコの「トロイ」遺跡のことは、みなさんすでにご存じだろう。
シュリーマンがここをトロイとしたのは、主に「周辺の地形がイーリアスの記述に似ている」ということにある。つまり、「イーリアスが実在の出来事を書いている」「トロイの周辺の状況を、現実のままに描写している」という条件がそろわないと、あのトルコの遺跡がイーリアスのトロイであるとは言えないのである。
しかし、イーリアスとはご承知のとおり神様も人間もごちゃごちゃに登場する、完全なノンフィクションとは言いがたい世界。実は、19世紀のシュリーマンが見た壮大な夢に、現代の我々もいつの間にかつきあっているというわけである。



「トロイ」日本語公式サイト
http://www2.troy.jp/

ヘレン・オブ・トロイ
http://direct.nagase.co.jp/dvds/ItemDL-24628.html
1956年の映画化。DVDで発売されている。

中央地中海通信
http://www.midmed-news.com/

マルタ共和国に関する詳しい情報が載っているサイト。

●IN OUR SHOP

(C)2004 Warner Bros. Entertainment Inc.
DVD 映画「トロイ」



トロイ
木馬伝説の古代都市


ロケ地マルタのガイド


マルタとゴゾ 島の色彩

●関連書

ホメロスの叙事詩

イリアス

イリアスの続編

オデュッセイア

シュリーマン自伝

古代への情熱


シュリーマンの実像に迫る

シュリーマン