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映画「アポカリプト」

「パッション」のメル・ギブソン監督がマヤ世界を描いた異色作

●STORY
中米マヤの村で家族と静かに暮らしていた青年ジャガー・パウ。突然の襲撃を受けて乱暴な支配者たちのもと
へ連れ去られてしまう。果たして彼は、無事に妻子のもとへ戻ることができるのか?!

【DATA】
監督:メル・ギブソン
主演:ルディ・ヤングブラッド
アメリカ映画、2006年
2007年6月16日(土)から全国で公開。
http://www.apocalypto.jp/


アポカリプトFAQ
メル・ギブソンがまたしても作ってくれた古代映画。今度は中米のマヤが舞台で、セリフはマヤ語!前代未聞の映画のフシギを探ってみよう。

「アポカリプト」ってどんな意味?

ギリシャ語で「物事をあらわにする」という動詞。これを名詞にした「アポカリプス」「啓示」の意味で、ご存じ聖書の「黙示録」のこと。ひょっとしてこの世の終わりについて書かれた「ヨハネの黙示録」を意識している?という気もしなくもない。

なぜメル・ギブソンが監督なの?
メル・ギブソンがアカデミー監督賞を受賞した「ブレイブハート」は、中世スコットランドの英雄の話。監督としての前作はイエス・キリスト最後の12時間を描いた「パッション」で、舞台は古代のエルサレム。「マッドマックス」などアクションで有名になった俳優だが、実は歴史ものに非常に関心があるのだ(「パッション」の場合、自身が熱心なキリスト教徒であるということも関係している)。

「パッション」のとき、キリストが生前使っていたとされる古代の言葉「アラム語」をセリフに採用していたので、今回、マヤ語でマヤの映画を撮ったというのも、非常にメル・ギブソンらしいと言える。

ただし、もう一つメル・ギブソンらしいのが、「パッション」でも問題になった、生々しい残虐描写。前回はキリストが受けた暴力の「リアルな描写」でもあったのだが、今回は「マヤの残虐性を不必要にクローズアップしている」と、批判の的になっている。

マヤ語ってどんな言葉?
マヤ語は、今でも中米に住む人たちが現役で使っている言葉。ただし、ひとくちに「マヤ語」と言っても中にはいろいろ種類があって、同じ「マヤ語」を使う人同士でも、相手の言うことがさっぱりわからない、なんていうことも起こる。

今回の映画は、専門のトレーナーがついて、「ユカタン半島で使われているマヤ語」でセリフが作られることになった。出演する俳優の中には、普段からユカタン半島のマヤ語もしくは他地域のマヤ語を使っている人もいるので、ナチュラルなマヤ語に触れる、貴重な機会になるかもしれない。

どんな人が出演しているの?
主演のルディ・ヤングブラッドは、これが映画デビュー作。アメリカの先住民系の家庭に育ち、ネイティブ・アメリカンの伝統のダンスを得意とするダンサーだった。ほかの出演者も、カナダ、アメリカ、メキシコにいたる先住民系の人々を起用。なかには、演技にはまったく素人の人もいたそうだ。

史実に忠実なの?
マヤ文明の調査をしている人、マヤ文明が好きな人たちにとって、メル・ギブソンのようなハリウッドの大物が全世界で公開されるようなマヤ映画を作ってくれるのは、とても喜ばしいこと…のはずなのだが、反面、マイナスイメージが強調されてしまうことを、非常に懸念している。

考古学者らが映画について指摘しているのは、主にこのような点。

・マヤは基本的に農耕民族。なぜ主人公の職業がハンター(狩りをする人)なのか?
・映画では、都市部の人間が村の人間を狩って生贄にしているが、都市が村を襲う、などということは起こらなかった。
・CGで再現された都市部の建築には、さまざまな時代や地域のものが混じっている。

ちなみに、今回はリチャード・D・ハンセン博士という古代マヤの専門家が監修についているので、映画もあながちウソではないか、ウソだということを承知で作られているのかもしれない。


メルマガで読むマヤ文明!
▼Vol204【EPISODE:車輪と金属器】

▼Vol190【EPISODE:ジャガー】
▼Vol134【EPISODE:マヤ語】
▼Vol105【EPISODE:月のウサギ】



映画「パッション」特集
http://www.kodai-iseki-na-hibi.com/passion/


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